「鉛筆で描くリアルな人物デッサン」を分かりやすく解説していきます。
「リアルなデッサンを描いてみたいけど、自分なんかには上手く描けない・・」
そんな人に向けてこの記事をつくりました。
というのも、ぼくは誰からも教えてもらう事なく独学で学び進んできました。
わからない事はiPhoneで調べ、iPadなどで動画なども見て学びながら、描いては失敗し描いては失敗しての繰り返しの中で我流のデッサン技術を習得しました。
つまり、デッサンについて学べる情報がまだまだ少ないと感じたからです。
そこで、デッサンを全く描けなかったぼくが、独学で学んだデッサン技術を全て語ろうと考えました。
初心者でも分かる人物デッサンの描き方から、鉛筆の使い方や活用方法、練習方法、独学だからこそ、ならではの練習方法から上達法まで全てを語ります。かなりのボリュームになるので目次を活用して要所要所で参考にしてください。
コンテンツ
- 鉛筆の「硬さ」の種類について
- 鉛筆の種類
- 鉛筆デッサンで「リアルな目」の描き方
- 「リアルな目を描く」時に気をつけるべきポイント
- 作業工程
- 仕上がり
- 鉛筆デッサンで「リアルな口」の描き方
- 鉛筆デッサンで「リアルな黒髪」の描き方
- リアルな髪の毛は「さまざまな線」で描くこと
- 鉛筆デッサンで「リアルな金髪・白髪」の描き方
- 鉛筆デッサンで「リアルな肌」の描き方
- 肌の質感を描写は「やわらかい面のグラデーション」
- 鉛筆デッサンで「リアルな手」の描き方
- 鉛筆デッサンで「リアルな顔」の描き方
- 鉛筆デッサンで「リアルなアクセサリー」の描き方
- 鉛筆デッサンで「金属」を描く流れ
- 初心者が人物デッサンを始める時に大事になること
- 初心者が鉛筆で人物デッサンを始める時に必ず必要になる「3つの事」
- リアルな鉛筆デッサンを描くための鉛筆の削り方
- ①まずは荒削り
- ②木の部分を調整
- ③鉛筆の芯をつくる
- ④全体を細長く削る
- ⑤キレイに調整していく
- デッサンの鉛筆の持ち方、角度の付け方
- 鉛筆デッサンにおける基本の持ち方
- 鉛筆を寝かせて持つ
- 鉛筆を長めに持つ
- 鉛筆を短めにもつ
- 鉛筆のタッチについて
- やわらかいタッチ
- 硬いタッチ
- 直線的なタッチ
- 曲線的なタッチ
- 荒いタッチ
- 鉛筆を寝かせたタッチ
- 人物の鉛筆デッサンをリアルに描いた作品集
- ぼくの処女作でもあるリアルな鉛筆人物画デッサン作品(ベリーショート)
- ショートヘアを濃いめのタッチで人物デッサン
- コンテストで全国優勝したリアルな人物画デッサン
- 終わりに
鉛筆の「硬さ」の種類について
鉛筆の芯の硬さによって、10H〜10Bの段階がありますが、デッサンで使用する鉛筆は3H〜6Bの種類だけで事足ります。
製造しているメーカーによって色や画用紙に対する鉛筆の定着度合いは異なるため、それぞれの特性を理解しながら状況によって使い分けましょう。
鉛筆の硬さが大まかに向けると、芯の固いH系と柔らかいB系、昼間の風である、HP分があり心が固いほど色合いが薄くなり、柔らかくなるほど色合いが濃くなります。デッサンは紙の硬さや濃度によって表現が変わってくるため、日本の鉛筆で進めるのではなく複数の硬さの筆を使い分けながら進めていくことが大切です。
芯が軟らかい(濃い)ほうから順番に10B、8B、6B、5B、4B、3B、2B、B、HB、F、H、2H、3H、4H、5H、6H、7H、8H、9Hに分類されます。
ちなみに、日本では1942~1945年くらいまでのあいだ、ローマ字での硬度表記が禁止されていました。現在の表記と対応させてみるとこんな感じになります。
鉛筆の種類
鉛筆の種類にも、さまざまな種類があります。
今回は描きやすい鉛筆についてをご紹介していきます。
ステッドラー
定着に安定性があり、ハッチングを重ねることで美しい調子を出すことができます。
ぼくが最も多く使うのがこのステッドラーです。
ユニ
振動が柔らかく、初心者にも使いやすい鉛筆です温かみのある色合いが特徴となります。
ハイユニ
ユニよりも色の定着が良く、色の高さが特徴です。
ファーバーカステル
心が硬い種扱いがやや難しいですが、独特の色味と風あいを出すことができます。
デッサンを支える要の道具です。メーカーによって描き味や色味などが異なるために、自分に合った鉛筆を選ぶ必要があります。
鉛筆デッサンで「リアルな目」の描き方
つまり、モチーフをしっかり観察して、描写しては、修正修正での描き方です。
「描写➔ぼかし➔描写➔ぼかし」という流れでのつくる何層にもなるグラデーションで、つくるのがぼくの言うリアルさです。
「リアルな目を描く」時に気をつけるべきポイント
- 目は球体
- 光沢がある
- 目にもパース(奥行き)がある
- まつ毛や目の毛は細かく
人の目には、黒や白や光源などさまざまな色彩があり、難易度が高いです。それだけでなくまつ毛や、近くには眉毛まであります。
目の眼球は球体になっているのは、ご存知でしょうが球体で描くことは安易ではありません、目のパースと組み合わせて、リアルな目を再現するのはとても難しいのです。
上記の4つを意識してリアルな目に挑戦してみてください。
大きい目を描くとかなり大変なので、まずは小さい目から徐々にステップアップしていくと描きやすいと思います。
作業工程
ラフ状態、1mm単位で調整しないとすぐバランスが崩れるので、デスケルなどでモチーフとの調整を入念にしていきましょう。
このエスキースが1番大事だと思っています。
これを適当にすると、目が別人になるだけでモチーフとかけ離れてしまいます、ぼくはこの作業にかなり時間を費やします。
ぼくの場合は、肌からつくります。
やわらかいタッチでつくりぼかしでグラデーションをつくり肌を再現していきます。
肌からサクッとつくるほうが気持ちがノッてくるので、描いていても楽しいのでおすすめです。
リアルな肌や、柔らかい肌の質感はティッシュや指でぼかしていきます。
肌は面になっているので、細かい調整以外は基本ティッシュペーパーでぼかしをつくります(ぼくは細かい調整もティッシュペーパーを指にまきつけてしますけど)。
目を描く前には、必ず肌の質感を描いてからの方が、効率が良いです。「目」はとても繊細なので、周りから固めていくという流れです。
鉛筆を立て気味の濃いタッチで描いていきます。少し濃い6Bで目のアタリをつけていきます。
力はあまり入れないように気をつけましょう。
目はかなり重要なので何回も書き直します。
このままだと、鉛筆感が残っているので、「目」の感じとバランスを見ながら、陰影もしっかりとつけていきます。
リアルさをだすためには、何層にもグラデーションをつけていかなければいけません。
小ジワや産毛によっても、リアルさが再現できるので、硬くて細い鉛筆をつくっておきましょう。
目のラインも何層にもぼかしをいれることでリアルさができます、目のような線のラインには綿棒のぼかしを使いましょう。
仕上げには、できるだけコントラストの強弱をつけれるように、モチーフを見ながら描写していきます。
全体通して言える事ですが、鉛筆は入れれば入れるほど「質感」が良くなり、リアルさがでてきます。リアルな質感をつくるために、しっかり手間をかけてあげましょう。
同じく、ラフにアタリをつけた後に、少しずつ濃さを調整しながら描いていきます。
描いた後は肌から描写して、周りを固めていきます。
いかがですか?
大分それっぽい感じになってきました。
仕上がり
かなりリアルに描くことができました。
目だけでなく全体通して言えることですが、やはり手間をかけて何層にもグラデーションをつけることが、鉛筆デッサンにおける「リアルさ」を出すコツになります。
描写する時には、よく観察して、目のパースをより精密に描写し、太細、濃薄を的確に表現することが、とても重要になるのではないでしょうか。
鉛筆デッサンで「リアルな口」の描き方
- ディーブな質感
- クリアな質感
- ドライな質感
3種類ほどのカテゴライズしています、この質感によって描き方をかえたりもします。
ディーブな口、唇です。彩度がかなり深めで全体のバランスがディーブになります。
何層にも面のグラデーションをつけたあと、様々に質感をアプローチしていきます。
最後に消しゴム・練り消しゴムでツヤ感を加えていきます。
鉛筆の調子も整えることができるので、ディープにしすぎた場合も練り消しゴムで調整することができます。
クリアの唇です、ツヤ感もあり一般受けしやすいのもこれのカテゴリにはまります。
上唇のラインは綿棒などでぼかすことが基本となります。
口のラインなど濃いタッチを少しづつ、つけていき調整していきます。
口は、横から見てみるとわかりやすいですが、唇が尖っているように三角の形になります。
つまり、正面から見てみると若干の凹凸があるために陰影の調子で、口のリアルさをしっかりと描写しないといけません。
さらに、口を描写するときは、線で描いてはいけません。
線で描く場合は、薄く描いていくことが基本となります、ハッキリとつけてしまうとシワに見てしまうので年配の人の唇の質感になるので、あくまでも優しいタッチでつけていきましょう。
鉛筆で口を再現する方法は、鉛筆の側面を使って面を描くようにして鉛筆を横にして描きます。そのため口はかなり繊細に描写しないといけません。
仕上げには、できるだけコントラストの強弱をつけれるように、モチーフを見ながら描写していきます。
全体通して言える事ですが、鉛筆は入れれば入れるほど「質感」が良くなり、リアルさがでてきます。リアルな質感をつくるために、しっかり手間をかけてあげましょう。
唇は薄く調子をぼかしながら、何層も重ねてグラデーションをつくることがポイントになります。
硬い質感を描いてしまうと、違和感が生まれてしまうので、肌の優しくやわらかい質感からの、自然なグラデーションで口を描くのが基本です。
ある程度、質感が描けると細かいディティールを線で描くことでリアルな口になります。
ポイントで陰影の濃さを調整すると、パーツパースがつくのでよりリアルになります。
消しゴムや練りゴムを加えることで、ツヤ感やがでます。
さらに、ティッシュでぼかしを入れると口ならではのやわらかさが描写できます。
鉛筆デッサンで「リアルな黒髪」の描き方
人の髪って何本あるかご存知ですか?多くの人は髪の毛がどのくらい生えているのかを知りません。
実は、人の髪は平均100000本も生えています。
「イラストとかだと髪を描くのは簡単なんだけどな・・」と髪を上手く描くことができる人もリアルな髪を描くことはできません。
なぜならば、圧倒的に描く回数が少ないからです。イラストような束感の髪ならば慣れでいくらでも習得することができますが、リアルになるとそうは簡単にいきません。
つまり、リアルに髪の毛を描くには鉛筆で10万回ほど描く必要があるのです。
しかし、10万回なんて現実的ではありません、もし仮にほんとに10万回も鉛筆を入れることができれば、それこそ本当にリアルな鉛筆デッサンを再現することができますが、ここでは簡単にリアルな黒髪を描くコツを紹介していきます。
リアルな髪の毛は「さまざまな線」で描くこと
髪の毛の黒髪を描く時に必要なものは・・
- 10Bor8B
- 2B〜6B
- 綿棒
- ティッシュ
ぐらいでしょうか?
3種類ほどあれば、ある程度かいていけます。
上記でも、話したようにリアルな黒髪は描けば描くほどリアルになります。
始めは、2B〜6Bなどでベースをつくり、8Bなどで描写していったり、髪のさまざまな動きを再現したり、よく観察して描きます。
そして、髪を描く上で大切になるのは髪は同じ色でないということです。髪にも光源の影響があり、一番彩度が高いところや暗いところがあり、色も全てが同じ色ではないということです。それをさまざまな鉛筆で描くことで少ない回数であってもリアルな髪の毛を再現することができます。
さまざまな硬さの鉛筆で描くことでより、多くの鉛筆で描いているように感じるのがコツの1つです。
しっかり丁寧に手間をかけて描いてあげましょう。
鉛筆デッサンで「リアルな金髪・白髪」の描き方
全体に薄めにヘアスタイルをつくります。
ぼくはF〜2B程度のやわらかめの鉛筆で、鉛筆をカッターで芯を平らになるように削り、フォルムを塗るようなイメージで描きます。
肌のうすいところぐらいのイメージで優しい描写です。それから、ペン型消しゴムや練りゴムで髪をつくります。
くっきり出す場合は消しゴムで、練りゴムは微調整を入れながらするといった使い分けをします。
コントラストをつくるために、髪と髪の交差するところにFやシャーペンのような硬い質感を付けたり、光源を計算して影をつけたりすのも効果的です。
- ベースに弱めでいいのでヘアスタイル輪郭を描く
- 消しゴムor練りゴムがベースの画材となる
- できるだけ細めに描く
コツというかこれが白髪や金髪を描くベースともなります。
鉛筆デッサンで「リアルな肌」の描き方
肌をリアル表現にするためには、鉛筆の削り方がとても重要になります。
デッサンに使用する鉛筆は、芯の先端と側面の両方を使用するため、基本的にカッターで削ります。
肌は基本的に面を使って描写するために、鉛筆の芯の作り方が重要となります。
鉛筆の芯が短いと芯の側面が使いづらく、長すぎると筆圧を強くすることができないため、芯を削る角度に気をつけながら練習する必要があります。
ポイントは鉛筆の先端も側面も両方を使えるような鉛筆にすることが重要です。そのためにデッサンを描く時は細長く削るようにする必要があります。
できるだけ面をつくりやすくするための鉛筆を削るようにしましょう。
肌を描くやすくする鉛筆の芯を削る
- 鉛筆の芯から約5㎝ほど離した位置でカッターをおいて削る
- カッターは動かさずに鉛筆を回しながら削る
- 木の部分と芯の部分をキレイに調整していく
肌の質感を描写は「やわらかい面のグラデーション」
上記のそれぞれのことを繰り返して、調子をつけていくことで、肌の奥行きがつきよりリアルな肌が再現することができます。
「やわらかいタッチのストロークで調子をつける➔ぼかす➔繰り返し」
この一連の流れを繰り返して、描写することで肌のグラデーションを再現することができます。
奥行きのある輪郭線などはできるだけ、濃いめのタッチで徐々にグラデーションにしていき、頬骨のように光源の当たる箇所には消しゴムでハイライトをいれてあげると、コントラストもつくのでおすすめです。
鉛筆デッサンのタッチは、とても奥深いものなので、「ぼかし」や「タッチ」、消しゴム練り消しゴムなども多用してリアルな肌をつくってみてください。
鉛筆デッサンで「リアルな手」の描き方
今回は、2本の手を画面に入れますがそれぞれのての光の当たり方の違いを意識すると、明闇の豊かな絵になります。
関節も多く複雑なモチーフなので、しっかりと形を合わせていきましょう。
鉛筆デッサンで描くリアルな手のポイントは・・・
- 手の形やシワ、厚みなどの特徴をしっかりと観察する。
- それぞれのての明闇の差、質感を表現していく。
手のモチーフは難易度がとても高いです。
よく観察しながら、細かな表現をしていきましょう。
それぞれの明闇の違いを出して、奥行きのある絵にして行きます。
影を描くことで密接してる部分同士の関係が説明できるため、下方の絵の親指が落とす影をキチンと描き、手のひらから指が離れていることを表現します。
手甲の筋や、光が当たっているしわの盛り上がり部分は、練り消しゴムのハイライトを入れて表現しています。
関連記事>>>リアルな鉛筆デッサンでの「消しゴム」と「練り消しゴム」という鉛筆以外の描写の方法について
手の甲や、手のひらに入っているしあわ鉛筆の先端を使って濃いタッチで描いていきましょう。
鉛筆デッサンで「リアルな顔」の描き方
それぞれの描写を組合せて描いていきますが、とくに重要になってくるのがバランス間隔です。
バランスの間隔の難易度が高いので、しっかりとモチーフを観察して部分と形を合わせていきましょう。
鉛筆デッサンで描く顔のポイントになるのは・・
- それぞれのバランスや間隔をしっかりと観察する
- それぞれの明闇の差、質感を表現していく
- それぞれの描写の描き込みを均一にしていく
顔のモチーフは人物デッサンは、さまざまな結果となるので難易度はとても高いものになっています。
とくに、部分部分で描き込みが過ぎると、そこだけ浮いてしまうので、いろいろと平均して描き込みながら進める必要があります。(あくまでぼくの描き方です)
しっかりと観察して、細かな描写(調子・質感)などをしていきしょう。
髪には、鉛筆で描き込んでから、綿棒でぼかして、ハイライトを入れるのを、モチーフを見ながら繰り返し描写していきます。
鉛筆も、太めの鉛筆(やわらかめ)と細めの鉛筆(硬め)で交互にいれていくとさまざまな髪になります。そもそも髪の細さは一定ではないので、最低でも三種類ほど用意していおくと良いです。
さらに毛先には細めで硬い鉛筆で、うぶ毛や枝毛などを描くとよりリアルになっていきます。
鉛筆デッサンで「リアルなアクセサリー」の描き方
タッチが目立ちすぎないように、加減しながら、金属らしい硬質感を表現していきましょう。
- タッチやハイライトで金属らしい質感を表現する
- 金属のツヤ感や陰影を丁寧に描くようにする
鉛筆デッサンで「金属」を描く流れ
基本的なことと言えば基本的なことなのですが、輪郭線のコントラストをしっかりとつけることがとても大切なことになります。
まずは、全体にエスキースし、アタリをとっていきます。細かいディティールに目がいってしまいがちですが、全体のバランスを見ながらシンプルに形を捉えるようにします。
かなり繊細な描写になります。金属なので歪みは目立つので基本は直線、バランスの良い曲線になるようにしっかりと見ながら描きます。
形をよく観察し、軽く陰影をつけながら、端々の形を具体的にとっていきます。
立体感を出すために、曲線が張り出しているところには濃い色をいれていきます。しかし、最初は光の反射や物の映り込みは細かく描写せずに、薄いタッチで入れていくことがおすすめです。
金属のツヤ感は、全体をティッシュペーパーでぼかして表現すると近いものができます。
陰となる所は、しっかりとぼかして、光が当たっている側はうすくぼかすように、モチーフを見ながら工夫して調整しましょう。
形が、複雑なところやポットの光沢が際立つところを積極的に描いていきます。陰の部分には練り消しゴムでハイライトを入れたりすることで、色のコントラストが強くなり金属らしい表現にもなります。
金属の縁には、消しゴムでハイライトを入れて、全体的な色の濃淡の調整すると「らしさ」が生まれます。
初心者が人物デッサンを始める時に大事になること
それは「才能の有無による価値観」です
個人的になりますが、デッサンは才能がいるなんて事を言われる方がいてますが、そんなものは必要ないという考えに至りました。
描くのはスキルであって、才能がなくても描く事は自体は可能です。
むしろ、ぼく自身も才能を感じずに取り組んでいましたが、それでもそれなりのデッサンを描く事はできます。
才能なんて言うものは、プロ級の画力のレベルです。
もっともっと高いレベルの話です。
なので初心者のうちから「 才能がない」という嘆きははっきり言って時間の無駄です。
才能なんて言葉だけで片付けてはいけません。
まずは描き続ける意識を持ちましょう
ぼく自身も、本格的に鉛筆デッサンを描くようになり、才能ではなくスキルが大切なんだなという事を実感しました。
なので描き始めたあとは描き続けましょう。
実際に、10ヶ月間描き続けたぼくの作品を3つほど並べてみます。
人物デッサン開始「6ヶ月目」
人物デッサン開始「8ヶ月目」
人物デッサン開始「10ヶ月目」
(これらは全て鉛筆のみで描いています)
ぼく自身の経緯は、鉛筆というものに縁がなく、学歴は中卒で美術の点数は2.5ほどでした(かなり甘くみています)
しかし、ぼくには人よりも継続力があったという自負があり、自分の長所を活かし上記にあるようなデッサンにたどり着くことができました。
ぼくの持論ではデッサンは「根気のトレーニング」というのを軸に進化してきました。
つまり、デッサンに必要なのはスキルだという価値観をもってやるべきなのです。
初心者が鉛筆で人物デッサンを始める時に必ず必要になる「3つの事」
そして、加えて初心者がデッサンを始める時に必ず必要な事を3つお伝えします。
鉛筆デッサンで大切な3つの事
- 緻密性(ちみつせい)
- 精密性(せいみつせい)
- 継続性
細かいポイントをつかむ事、細かい点を見つける事、やり続ける事、基本的にはデッサンに終わりがありません。
できるだけ描き続ける事も大切なのです。
リアルな鉛筆デッサンを描くための鉛筆の削り方
鉛筆の芯が短いと芯の側面が使いづらく、長すぎると筆圧を強くすることができないため、芯を削る角度に気をつけながら練習する必要があります。
ポイントは鉛筆の先端も側面も両方を使えるような鉛筆にすることが重要です。そのためにデッサンを描く時は細長く削るようにする必要があります。
①まずは荒削り
カッターの刃の根元を鉛筆の橋から数センチのところに当て、鉛筆を持っている手の親指を使って。前に押し出すように削ります。
基本的にカット面では固定し、カッター刃自体は動かさないようにしましょう。
角度は急すぎずで少しずつ木の部分を削るようにしていきましょう。
②木の部分を調整
削ったところが均等になるように鉛筆を回しながら、徐々に削っていきます。
あまり大きく一気に削るよりは、すこしずつ形を見ながら削る方がキレイにつくれます、ここでもカッターの刃は動かさないよにしましょう。
③鉛筆の芯をつくる
鉛筆の芯が現れ始めたら、削る角度を変えずに力を少し弱めながら進めていきます。
鉛筆の芯はもろく折れやすいので、木の部分は強めに力を入れて芯に近づくと抜いていくように工夫をしましょう。
④全体を細長く削る
鉛筆の芯の中心軸がぶれないように気をつけながら、芯と木の部分と同時に削っていきます。
芯の部分が出すぎないように水平に削るように心がけましょう。できるだけ細長く削っていくことで、鉛筆の側面が使いやすくなります。
⑤キレイに調整していく
最後に鉛筆の芯の先端をとがらせてきます。
芯が折れないように注意しながら、あまり力を加えずに軽い調子で削っていきます。鉛筆の芯が同じ角度になるように鉛筆を回しながら調整していきましょう。
デッサンの鉛筆の持ち方、角度の付け方
それぞれの持ち方の特徴を理解して実践していきましょう。
鉛筆デッサンにおける基本の持ち方
文字を書くときと形は同じですが、デッサンの場合は小指を立てて鉛筆を持ちます。
小指で画面を支えることで、手のひらで画面を無意識のうちにこすってしまうなどの汚れを防ぐことができます。
慣れないうちは力が入らにくかったり、うまく鉛筆を動かせなかったりしますが、いちど身に付くととても描きやすいため、積極的に活用しましょう。
小指を曲げて物
小指を曲げて爪で画面を支えることで画面をきれいに保つことができます。
他にも細かいところや、完成間近の描写の際に描く時などにも使えます。
例えば、仕上げの段階で鉛筆の先端を使って細部を描き込む時などによく多用します。
鉛筆を寝かせて持つ
やわらかい太い線が引けるとともに、筆圧の強弱がつきやすい持ち方となります。
アタリや、調子を作るときに適しています。
例えば、アタリをつけたい時に使ったり、ラフ画を書くときによく使用します。
鉛筆を長めに持つ
鉛筆の下の方を優しく持つことで、大きいストロークを描くことができます。
また筆圧の弱いやわらかな調子をつける時にも適しています。
例えば、肌の質感のようなやわらかくて大きな部分の質感を描くときに、鉛筆を長めに持つことで優しい調子をつけることができます。
鉛筆を短めにもつ
鉛筆の芯の近くの短く持つことで、強い筆圧で濃く太いタッチやストロークを描くことができます。
またしっかりと画面に色を塗り込んでいく時にも適しています。
例えば、肌や表情の陰影の調子をつける時や、服や物などにによく多用します。
鉛筆のタッチについて
筆圧はあまり強くするとキャンパスが傷んでしまうので、できるだけ優しいタッチを身に着けてそれぞれのタッチをマスターするようにしましょう。
やわらかいタッチ
鉛筆の芯の側面を使い、弱めの筆圧で描くタッチです。
アタリを描く時など、デッサンの初期描写・ラフ画などで多用します。
側面を使いやすいように、自分の好みの鉛筆の削り方を覚えて鉛筆をつくりましょう。
人物画では、ラフ画以外でも肌の質感をつくるのに、よく多用したりさまざまな質感に役に立つのが、このやわらかいタッチです。
硬いタッチ
鉛筆の先端を使用して、直線を刻むタッチです。
影になっている部分など、面を表現するときに多用します。
さらに、アウトライン(デッサンの輪郭線)などを、仕上げの際に硬いタッチで描くことでコントラストがついてくれて、立体感を表現もしてくれるので、仕上げの時に多用します。
これらの、やわらかいタッチと硬いタッチを基本軸によって以下のタッチと組み合わせることでも大きく変わります。
直線的なタッチ
鉛筆の先端を使用した直線の上から、向きを変えて直線を重ねて刻むタッチです。
細かい描写などで多く使用します。さまざまな質感や陰影にも多用することがあります。
曲線的なタッチ
複数の曲線を重ねたタッチです。
円など滑らかな面を表すときに多用します。こちらもさまざまな質感や陰影にも多用します。これは素材によって変えたりもします。
荒いタッチ
鉛筆の先端を使って、直線や曲線を織り交ぜたタッチです。
土の盛り上がりなど、荒々しい質感を表現することができます。服やアクセサリーなど装飾系の質感に多用していきます。
鉛筆を寝かせたタッチ
鉛筆の芯の側面を使用して、太くやわらかい線を描くタッチです。
陰影をつけるときによく多用します。
このタッチに重要になってくるのは、鉛筆の持ち方です。
鉛筆を寝かせて、鉛筆の芯に近い部分を持つのと遠い端の部分を持つのでもタッチの加減が変わるので、描写したい表現や質感によって使い分けをする必要があります。
寝かせてもつタッチは奥深いタッチです。
人物の鉛筆デッサンをリアルに描いた作品集
ぼくは「デッサンを描く!!!」と決意表明をした時点では、ドラえもんはおろかアンパンマンすら描けない状態でした。仕事仲間からは絵心がないという言葉をかけられるほどでした。
しかし、描くと決めたからには描きます。
上記のことを常に意識し、常にトレーニングです。そして人物のデッサンとして初めて描ききったのは、約6ヶ月後でした。
ぼくの処女作でもあるリアルな鉛筆人物画デッサン作品(ベリーショート)
さて、これがぼくの処女作になります。
わりと自分の中では満足な仕上がりになっていますが、描いていると止まらずにどこで終わりにするかが1番むつかしかったような気がします。結果論としては満足していましたが、デッサン中はほんと終わり時が難しかったです。
全体的にバランス感がとれていたので良かったかなと感じています。質感なども柔らかさを意識しながら描いています。これまでのトレーニングが形になった気がします。やはりデッサンは根気のトレーニングだと痛感しましたね。
惜しいと感じるのはもう少し顔をアップにすればもっとディティールがしっかりとしたデッサンになったんじゃないかなと思います。
とくに目元と口元といった細かいところのディティールは描くスペースがないために、攻めきれなかったです。
逆に髪に関してはかなり描き込む回数が多く、かなり奥行きのあるタッチがつくれました。4B、8B、Fなど様々なタッチをかなり入れて、ペン型消しゴム、練りゴムなどコントラストもしっかりとつけることができました。
服の質感や、装飾などもかなり苦労はしたもの再現性が高く描写ができましたね。金属系のトレーニングはもうちょっと必要ですね。
今回の良かったところ
- 全体的にバランスが良かったこと
- 髪の描写はディティールまでクオリティが高い
- パースもキレイに描写できた
今回の反省点
- パーツのディティールが弱かった
- 顔の描き込みが足らなかった
総合すると、自分的には満足のいく作品となりました。処女作ということで粗はあるものの思い出の作品になりました。
ショートヘアを濃いめのタッチで人物デッサン
ショートモデルです。
全体的に描写をディープに寄せていきたかったためにタッチの回数を増やしています。ベース自体を白を少なくして濃い印象にしています。
目元にかなりフォーカスしました。パースも意識しタッチの加減などとても良いトレーニングになりました。
個人的にはこの「目」のパースはとてもしっくりきて、眉毛のリアル感もとても良い仕上がりになりました。目元では「F」「2B」「6B」をメインに使用していましたが、使い分けがかなり良い方向にいき、パースの感覚をつかめた感じです。
しかし、鉛筆の濃さの加減のコントロールがすごく難しく、全体的に迷いが見える作品となりましたね。パーツパーツは良い感覚でしたが全体感でデッサン感が抜けずに終わってしまいました。
総合すると、一つ一つのパーツにフォーカスしすぎて全体のバランスを崩してしまった作品でした。
良かったところ
- タッチの加減をつかめた
- パースが上達した
- ディティールのトレーニングになった
反省点
- 俯瞰で見ることができていなかった
- バランスが残念
- 硬いタッチと柔らかいタッチの使い分け
悪くはないのでしょうが、残念な仕上がりでした。ディープな作品にチャレンジするにはまだ時期尚早な感じです。とくに硬めなタッチにすると柔らかいタッチにシフトチェンジができなかったりもして鉛筆感が抜けなかったので、その辺をトレーニングしていこう。
コンテストで全国優勝したリアルな人物画デッサン
前作の2作品の反省を踏まえて、かなり試行錯誤した作品。
とくに今回は描くモデルをこだわりました、キーワードとしては「きれい」「かっこいい」「かわいい」など誰が見ても惹かれるような作品にしたかったので、描くデッサン力×モデル=作品といった感じが今回のテーマとなりました。
全体にバランスのとれた作品で、初の外人女性をモデルとしたデッサン。
髪も、金髪を主とした髪色にチャレンジしてみて影とのコントラストで上手く表現できたと感じます。若干髪の動きが荒く、大きすぎたなと反省ではあります。
逆サイドは淡い柔らかい質感のタッチで明闇をしっかりとつけています。外国人女性はやはり描きやすいです。
手にも初チャレンジ。手だけ描くのはトレーニングを積めば問題はありませんが、顔や身体と描くとなるとバランス感覚がとても難易度が高くなります。
服の質感にもこだわって描写しました。全てにおいて粗はあるもののとてもまとまった仕上がりになりました。
今回の良かったところ
- 様々なチャレンジができた
- 全体的にバランスがよかった
- 明闇もしっかりつけてコントラストがくっきりつけれた
今回の悪かったところ
- 髪の描写が荒かった
- もう少し明闇をしっかりつければよかった
- 繊細さが物足りなかった
今回の作品で、コンテストの優勝をすることができたと結果がでたのはとてもよかったです。ネット上にも掲載されているので、デッサンが結果に残ったのは、運とタイミングもあったとはおもいますが良かったです。
終わりに
こうやって書き起こしてみると、結構なボリュームで重くなってしまいましたが、まだまだ追記していく予定です。
デッサンとは、非常に奥が深いものです。
きっちりと説明していこうとすると、どうしても長くなってしまいます。ですがデッサンの基礎を理解するという意味では、これくらいは最低限必要であると思います。
長い記事でしたが、最初から最後まできちんと読んでくれたならば、人物のデッサンの基礎的なことが理解できたのではないかなと思います。あとは練習していれば、全然描けるようになるんじゃないかなと思います。
実際に、ぼく自身が描けるようになるまでの道程をまとめただけなので。
この記事の最初の方でも書きましたが、デッサンは、あらゆる作品制作の基本となる「根気のトレーニング」です。
それは、絵画系でも、イラスト系でも、立体系であっても、どんなジャンルの作品を作る人間にとっても、関係なく必要なものと思います。諦めたらそこで終わりますからね。
ここ最近は、「絵」というと、デジタルな手法で描くのが主流となっています。でも手法は違っても、ペンタブレットやiPadなどを使って描く場合も、アナログできちんとしたデッサン力をつけなければ、レベルの高い絵を描くことはできません。
もちろん、デッサンそのものをデジタルな手法でトレーニングしてもかまわないと思います。むしろ効率は良くなったりすることはあります。
要は、小手先のテクニックよりも、観察する力が身につけばそれで良いのです。それがデッサンの最重要目的です。
そして、もちろん、デッサンを描けない人が優れた作品を作れないというわけではありません。それとは関係なく、すごい作品を作ることができる人も世の中にたくさんいますからね。
ただ、デッサンのトレーニングを積むことで、作品の説得力みたいなものを高める効果は確実にあると思います。実際にぼくの作品はまだまだ粗はあるものの全体的に見ると「なんか良い感じ」というぐらいにはなりました。
そういった意味で、ものを作ったり描いたりしていくために必要な能力を得るためには、デッサンは、練習する意味のあるものであると言うことができるでしょう。
これからデッサンをする人の参考になればと思います。